管理教育すらまっとうに出来ない｢大人｣に、ＢＲ法なんて施行できるわけがない。というより、この映画に即していえば、あの首輪をつけた時点で管理教育は完成だから。別に殺し合いをさせる必要はない。

むしろ偏った｢人権意識｣のせいで、首輪をつけることが出来なくなったが故の、教育現場の荒廃、学級崩壊なんでしょ。原作は読んでないが、この｢最後の一人になるまで、生徒同士に殺し合いをさせる｣という、グロテスクで卑劣、無知で愚昧な設定に何らかの意味があるとすれば、大人側から子供に対する｢もうお前らを王様扱いするのは止めた｣という通告状としてのものだろう。であるなら、子供たちには徹底して｢ガチンコ･バトルロイヤル｣をやらせればいいだけの話。ゴタクの類は一切不要。キタノ(教師)は単に残虐な鬼教師として君臨すればいい。変におちゃらけた弱みを兼ね備えている必要はまったくない。

さらに言えば、役を演ずる子役たち、両親の愛を浴びてすくすく育った素直さを感じさせ、ある意味これなら日本の未来もだいじょぶだ、と思わせてくれるが、残念ながら撮影現場で王様扱いされ過ぎ。殺し合いしてんだから、もっと糞まみれ泥まみれ汗まみれにさせなきゃ。皆さん死んだときの顔の綺麗なこと！　だいたい深作、お前大人を使って映画撮るときは、もっとひでえ扱いしてるだろ！　今の時代に照らし合わせれば、(小説としてはともかく)映画化することに無理があった。

そこそこいいなと感じさせるシーンもあったけど、そんなのは金取って見せる映画なんだから当たり前のこと。むしろ個人的には、あの深作欣二がたどり着いた所がここかと思うと、ほんと情けねえ感じがする。人間は意味を求める動物だから、何らかのメッセージを込めたいという気持ちも分からなくはないけど、映画なんだから、活字で語った時点で負けと思い知れ。歯を食いしばってでも活字を入れるべきではなかった。

話題物は追わずにいられぬ身としては、原作も読むか読まぬか逡巡しているところがあったけど、これで決まった。スキップ。(ま、映画見てる時点で、思いきり話題作りに乗せられちゃってるけどね）

65／100 (01/08/06)