[コメント] 山の郵便配達(1999/中国)
「お前は父に逆らうのか」この台詞が生きている国だからこそ、身にしみる。
「ほら、いつまでもゴロゴロしてないで、どいたどいた」 と掃除機の先っぽで旦那を追いやるドラマが横行する日本で、こんな父が少なくなったのは言うまでもない。
父の威厳は失墜し、一生懸命家族のために働き、たまの休日さえもゆっくり休ませてもらえないおじさま達。行き場を失った者達は、公園のベンチで紫煙をくもらせパチンコへ。それでいいのか!ニッポンのおじ様達よ!
子供にさえ「うるせー」といわれ、「お前は父に逆らうのか」その言葉をぐっと飲み込む。それでいいのか!ニッポンのおじ様達よ!
この映画の父はいつまでも父である。寡黙で仕事一筋の父を母はありあまる愛情で見守りつづけ、孤独で寂しい山暮らしをも耐える。父のため、家族のため。息子はそんな父の後ろ姿をみる。彼は老いて自分より体力的に衰えた父を決して上から見たりはしない。
むかし父が家を振り返らず旅立ったように息子は背中で父に語り掛ける。たくましくなったその背中で「俺は大丈夫だ」と。
言葉少ないこの男同士の愛情に胸が震え、女には決して理解できる事のない二人の関係を羨ましく思うのだった。
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