[コメント] JSA(2000/韓国)
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韓国人と北朝鮮人が同胞として描かれる本作は、北朝鮮の首席にとって北鮮人民が国家を裏切る事に等しい故、北朝鮮の人達には絶対に目の触れないところとなるだろう。
監督の「南北の両国民に同じ民族だと言う事を感じとって欲しい」と意図するものは、韓国の国民にしか届かない。
本作を自由に観られる大韓民国と観られない北朝鮮人民共和国、両国民にとってますます温度差が出てしまうと思われる本作は悲しすぎる・・・。
映像面ではハリウッドの域にかなり近づいたのではないだろうか。特に素晴らしい色使いのライティングが画面全体を引き締めている。映画を韓国文化として根付かせようと言う心意気が全面に感じられる作品だ。
個々の陳述書の内容を映像で見せている点も興味深い。それぞれの陳述の内容が異なるゆえ、映像も違った視点になるところが面白いのだ。たとえそれが嘘でも映像として堂々と流す事が出来る。
だがサスペンスとしては今ひとつの創り。ラジカセに偶然当たった弾丸。ラジカセは韓国から持ち込んだ品物故に、それを知られる事の無い様に川に捨てる。消えた一発の弾丸の謎。血痕の付いた銃。
捜査を複雑にする展開としては、あまりにも面白さに欠ける。用意周到に考えられた証拠隠滅を暴く展開だったら興味も湧くが、偶然なされた出来事を繋ぎ合わせるだけの捜査は単純過ぎる。
しかし友情面は丁寧に描かれてあり充分に感情移入できた。韓国の軍隊では満足な食事は貰えない。軍隊ではチョコパイは希有のご馳走だそうだ。そのチョコパイを北の兵士と分け合う温かみのあるストーリーは徴兵制度の有る韓国の人しか分らないらしい。
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