[コメント] ファイナルファンタジー(2001/日=米)
「アニメを写実絵にしても、つまらなくなるだけ。」 「人間を特撮で作っても、手間がかかるだけ。」
もっとも僕はアニメファンではない。それどころか、アニメはほとんど見ない。だから何を生意気な、と思われるかもしれない。でも、写実絵のアニメがつまらないことは、考えてみればわかる。
例えば、アニメファンが自分の好きなアニメを見ていたとする。この人は、この映画が実写だったらなあ、と思うだろうか?思わないはずだ。そのことを考えれば、アニメが目指すのが、実写のような絵と動きではないことはすぐにわかる。
あるいは僕も漫画なら読んでいる。漫画は必ずしも七頭身、八頭身の人間が髪の毛一本まで丁寧に描かれている絵がうまい、というわけではない。ギャグ漫画の、子どもが描いたような絵がうまい絵と言われることもある。
アニメは実写と違うからこそおもしろいはずだ。
次に特撮について考察してみる。特撮というのはもともと、物理的、予算的に実物では再現が不可能な場面を、ミニチュアや合成によって再現する技術である。だからCGで人間を作ったって、面倒なだけである。本物の人間が演技しているのをカメラで撮った方が早い。
今は面倒だが、将来は技術が発達してCGも簡単に作れるはずだ、という反論もあるかもしれない。そして、「ファイナル・ファンタジー」は、そうした技術の発達の第一歩だと。
でも、本当にそうだろうか?どれだけ技術が進歩しても、コンピュータを介して人間を動かしているくらいなら、直接人間が動いた方が早くないだろうか?
あるいは将来、次のような技術ができたとする。コンピュータの中には、CGの人間が入っている。特殊なカメラで動いている役者(本物の人間)を撮影すると、微妙な表情まで、CGの人間を動かしてくれる装置である。これならば、CGが演技をするも楽だ。それに役者は誰でもいいわけだから、スケジュール調整もしなくてすむかもしれない。まさに人間の着ぐるみである。
しかし、本当にこの技術が実用化されるだろうか?一人の役者を雇うのと、コンピュータのエネルギー費とではどちらが高くなるのだろうか?また、CGを動かす役者は誰でもよいとは言え、スケジュール調整のために、あまりたくさん雇っていたら、費用が高くつくのではないか?それに、新しいデザインの衣装が出たときには、そのCGも作らなくてはならない。
そしてこの技術が実用化されたとき、「ファイナル・ファンタジー」の技術がどこまでいかされているだろう?過去の古くさい技術になっているかもしれない。
この映画に限らず、特撮が発達したら、人間の役者は必要なくなるのではないか、という話はよく聞く。でも、(未来のことだから断言はしないが)僕はかなり怪しいと思う。
*「あるいは」という言葉が多くて読みにくかったのと、脱字があったのを10/11に修正。話の筋は何も変えてません。
*同日、補足:上記の「未来の技術の想像」はあくまで、実在しない人物をCGで創ることや、実際に布・皮を細工することなしにCGで衣装を作ることにこだわっています。おそらく上記のような技術ができるなら、デジカメで撮影した人間や衣装の画像を、自由に動かす技術もできるでしょう。その場合は、「新しい衣装のCGを作ること」「新しい人間のCGを作ること」は簡単になるでしょう。
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