[コメント] リリイ・シュシュのすべて(2001/日)
冷静さを失いながら、私はこの映画を全身で嫌悪した。
その最大の理由は、岩井俊二の映画に完全に取り込まれてしまった経験を持っていることにある。自分しか信じられず、ほとんど映画を観ることなしに音楽にばかり救いを求めていた18才の時のこと。その後少しずつ岩井俊二が何であるかわかってきたものの、美しい記憶はそのままに留めてきた。だからこそ、絶望的に閉じたこの映画を一人映画館で観たときは、自分もまた絶望的な顔をして、最悪だ!と叫ぶしかなかった。これを誰もが冷静に観られるのならば、何も言う必要はないのだけれど、岩井俊二の映画とあらば、どう考えてもかなり多くの人の目に無防備に晒される可能性がある。そのことがどうしても憎く、恐ろしかった。しかも、頭では拒絶しながらも、ここに出てきた吐きそうなほどに強調された緑色の草原が、田舎で育ったことのない自分の中に、またしても新しい一つの心象風景として定着しそうになりながら・・・。
でも一番冷静じゃなかったのは結局自分だったということに、はたして今日まで気づけなかった自分こそ最悪だった。★1から再度出直します。
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