[コメント] 息子の部屋(2001/仏=伊)
家族との強い絆を何よりの助けとしながら、他者に自信をもってアドバイスを与えてきた医師は、息子の死に強かった自分を見失い、ただ走り続けるよりなかった。救いは外部よりやって来ることを忘れて…。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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本来強くあるべき精神分析医の彼は、息子の死に押し潰されそうになって弱さを垣間見せる。息子といるべき時間を過ごした患者に露骨な憎悪をぶつけすらする。父親たる彼は、実はおのれこそが息子の死以来息子のいるべき場所に囚われ過ぎていたのではなかろうか。
しかし、息子がともに心を通わせた少女が立ち直り、別の道を捜し当てていることを知り、父親は少しだけ癒された気分になる。いつも他人に励ましを与えつづけてきた男が、少しずつ突然の悪夢から立ち直れたのは、他人のしたたかな少女のせいだったのだろう。それとともに、関係が冷めたかのように見えた家族たちの顔にも、再び笑顔が甦っているようだった。父親が医師を再開できたかどうかはどうでもいい。これは他者は導くこともできるが、頼れば導いてもくれる存在だということを主人公が知るお伽話だったように思えるのだ。
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