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[コメント] 愛すれど心さびしく(1968/米)

数十年たった今でも、わたしの心はこの映画にもっていかれたままだ。
ALPACA

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







実はこの映画は、子供のときに淀川さんが解説をされていたテレビを一度観ただけで、ビデオでも劇場でも観ていない。そして、それでも、わたしの中では生涯の映画ベストは、これだ。

演出はどうとか、役者がどうとか、語ることも出来ないし、もしかしたら物語りも記憶違いで覚えてしまっているのかもしれない。それでも、それでも、テレビの前で気が抜けたようになってしまった体験は、あのとき一度だけだし、それが歳をとるにつれて、記憶の中でのこの映画に対する気持ちはつのる一方だ。この映画への思いとは、単純に言って主人公への共感。と、主人公の友人達のような、主人公を亡くしてしまう喪失感だ。

子供のわたしにとって、このラストは、人がこんな風に死んでしまうことがあるのか。という驚きだけだったのかもしれない。そして、テレビを見ていた少年が予期することなんて出来なかった、それから自分にふりかかる、あれやこれやの事件の度にこの映画のことを、彼、シンガーのことを考える。時にシンガーのようになりたいとも思うし、時にこの人はシンガーのようだと思うこともあった。

そして、シンガーを救うためにはどうすればよかったのだろう。それは本当によく考える。よく考える。そして、考えれば考えるほど辛くなってしまう。

でも、それでいいんでしょ?と、もう会えない人たちの方をみて首をかしげるよ。

(評価:★5)

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