万年筆のネタに関しては、見え見えだったので素通り。最後の演説もそんなもんだろうという感じ。号泣したのは図書館で、若い生徒達が老いたジョンを囲んでいたシーン。意識もなく、言葉もなく、いつの間にか取り戻された過去の煌めき、日常の輝き。泣くほどのものでもないと高をくくっていたのに、ブワッ！

　エド・ハリスはハマりすぎ。ジェニファー・コネリーの力演は快哉だが、後半の出番が少ないのは映画的欠陥でもある。何故なら、これは半分が奥さんの奮闘記であるはずだから。ラッセル・クロウは最後あれ、マーロン・ブランドにすり替わっていた…わけじゃないよねえ？　くさいかなとも思ったんだけど、さすがだと思います。インサイダーのワイガンドとかぶってたけどね、演技も役所も。

　ロン・ハワードの演出は、重いノン・フィクションを、冒涜にならない程度に上手くエンターテイメントに昇華していました。らしさが出ての受賞。秀作です。