話は荒唐無稽，暢気な無敵の化け物ではなくなったものの，シュワルツェネッガーが又もスタンドプレーで暴れまくる映画ではある。

　しかし，ラストの典型的なハリウッド的ご都合主義的解決は，実は監督にとってどうでもいいのだ。この映画，脇役もえらく演技が上手い。シュワもテロ＝シーンの狼狽振りなどは以前より上手くなった事を窺わせるが，そのシュワが一番下手に見えた。アングロ白人が浮いて見えるこの渋さは何なんだ。最後にわざわざワシントンに迄戻ってきてテロがワールドワイドであることを示しつつ観客（アメ国人）に臨場感を味あわせるが，その前のコロンビア進入は，現実との対応はどうであれえらくリアルである。テロを行う人々はどう暮らしているのか，その周辺に何があるのか，を考えたくないヒトに迄みせつける造りは，明らかにアクション映画とは指向が違う。

　「君は正しいことをした」と最早ピントも合わせて貰えない「脇役」のシュワがいう科白の胡散臭いこと。

　実際のアメ国の相手は違ったが，アメ国が世界でしている事は同様である。これは開戦前には見せられないだろう。その点でこの映画は評価できる。