[コメント] 少林サッカー(2001/香港)
矢張りこの映画の良さは饅頭屋で突然すっくと立ち上がり歌いだす作曲家志望の青年が象徴している。次に何が起こるか判らない、何が起こっても不思議でない世界、というのが映画の魅力なのだ。それは凡そ映画というメディアの原初的な魅力でありシリアスドラマであろうとコメディであろうと前衛映画であろうと同じだ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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そういう意味でこちらの予想を遥かに上回る画面を立て続けに提示するこの映画はとても面白いし良く出来ている。いくつかのシーンでは倫理的に嫌悪感を感じるぐらいやり過ぎているが、饅頭屋の娘が整形手術をした後に怪物と評される展開等はありきたりな物語性への批評感覚もありバランスを保っている。
サッカーシーンの多くの画面で行われる過剰なCG処理は、いわゆるファンタジー映画以外で行われるコンピュータ処理の幸福な在り方を考えさせられる。私はロバート・ゼメキスとドン・バージェスが近作で試しているような繊細な(それは通常の撮影と編集でなされた視点移動と見紛うような)処理が好みだが、この映画のような過度に戯画化されたある意味ふざけた使い方との二極分解が進むのが良いのだろう。いずれにしても、意味・目的の不明な中途半端な使い方(例えば、『パニック・ルーム』のデビッド・フィンチャーの試み)では駄目だ。
#もっとも「全ての映画はファンタジー映画である」という議論も有りだけれど。
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