ハイウェイのシーンでモーフィアスがキー・メイカーを宙に放り投げるトコロもなかなかだけど（キー･メイカーで遊び過ぎ。お年寄りは大切にしましょう）、やっぱり今回はスミスのクローンの一人勝ちかな。「不条理ギャグなのか、コレは？」と思うほどワラワラ湧いて出てくるスミスを、キアヌがいつもの能面っぷりで（どー見てもうろたえてる風にはみえない）黙々とサバいていく奇妙なノリ。しかも技術を駆使すれば駆使するほど、珍妙に見えてくるアクションがこれまたオカシイ。

設定自体がそうなんだから、トコトン不条理テイストで攻めて欲しい、というのが個人的希望。ごくごく平凡な愛とやらで簡単に予定調和の檻から抜けられるなんて、ちょっと肩透かし（malさんの意見に同意です）。少なくとも『ＣＵＢＥ』程度のケリのつけ方はして欲しい。ザイオンが滅びたということを聞いても救世主の真偽云々ということにかまけて、人々が全滅した事実を軽く流しているトコロは結構「？」で笑えたけど（でも選ばれた人だけが当たり前のように残る、みたいなのはちょっとヤダかな）。

全体的な印象はというと････。ヒトコトで言えば頭良さげにみえて大して頭良くない、という感じが。何だか技術や専門用語で埋めつくせば頭良いと勘違いしているオタクな人に有りがちなノリで、脚本のヒネリなども全然「おお！」という工夫が見えない。それらのことはマトリックスから抜けてザイオンのシーンに移ると、途端にイモ臭い演出で横溢するということに端的にあらわれているような気が。なんだか『ダイ・ハード２』を見た時に、あまりの体育会系ノリにのけぞった時の印象に似ている（『Ｍ：Ｉ−２』もそうだけど）。何気ないセリフの遣り取りもハッキリ言ってセンス悪いし、話の内容も予定調和の檻の中といった感じ。アクションやハイテク技術の片手間で物語が進行しているという印象、かな。

とか何とか言いながらも、映画という枠をとりあえず置いといて、（前述のように）頑張れば頑張るほど珍妙に見えてくるＣＧは面白い。というかボロクソに言っててもどこかニクめないテイストは確実に存在するので、とりあえず最終章もちょっとだけ期待しときます。。。

(2003/6/15)