春日部の警察組織、テレビ局を瞬時に傘下におさめることのできた組織が、なんであんなに柔弱で卑小なのだ。そしてその組織の目的は焼肉、のはら一家の本質、ひいては春日部とは全く関係がない。この俺や観客にとってはともかく、のはら一家にとっての熱海は崩壊しても一切かまわない土地であろう、少なくともこの状況下においては。新幹線やＥ電（誰も使わない言葉だが、代わりの言葉が見つからないのであえて使ってみた）を乗り継いでゆったりと戻ってくるような、そんな平和なエンディングが適当な話なのか、この物語は。ケツだけ歩きしてでも、這いずってでも焼肉の待つ春日部に戻ってこなければならないのが順当ではなかったのか。それが描けないなら『栄光の温泉ロード』とでも改名して二番煎じでもやってなさい（しかし『温泉わくわく大決戦』には温泉への限りない偏愛があったのを忘れてもらっては困るが）。愚にもつかないテーマへの過密着…それが今までのクレしん映画の魅力であった筈じゃないか？