[コメント] HERO(2002/中国=香港)
既製のアクション映画の枠に捉われず、自らの感性の赴くままに「楽しく、美しい」武侠ものを撮りきったチャン・イーモウがやっぱり大好きだ。
何かのインタビューで彼は武侠ものを「何事にも束縛させない自由な発想で挑める楽しく美しい世界」と言っていたと記憶している。つまり彼にとっての武侠ものは、美しいということも大切な要素になってくるのだ。また彼は『グリーン・デスティニー』でアン・リーに先を越されたことをとても悔しがっていて「これじゃあ何をやっても彼の真似をしたと言われる」と苦悩していたというが、結果としてそのような比較論があまり出てこなかったのは、美を基調とした彼ゆえのオリジナリティあふれる演出(あえてそう考える)の賜物であると考えるがどうか(だからダメなのだと言われれば、そうですかと言うしかないのだが…)。
何はともあれ、私は彼が作り出す映画が好きだ。それはおそらく彼にしか作れないであろう独特の世界をその作中に感じるからに他ならないのだが、その意味では既製のアクション映画の枠に捉われることなく、自らの感性の赴くままに(彼なりの解釈のうえで)「楽しく、美しい」武侠ものを撮りきった彼をやはり私なりに積極的に認めていきたいと思うのだ。
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