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[コメント] リベラ・メ(2000/韓国)

業火絢爛。
G31

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







(また早いもん勝ちコメント。すいません、どうも)

あそこまで克明に炎を捉えたことだけでも驚き。まさに己の意志を持つが如き。その美しいまでの猛々しさに、恐怖というより陶然としてしまう。そんな炎の危険な魅力に魅入られた男(たち)の物語かと思いきや・・・。

韓国映画は主演級俳優の面構えが皆いい。特に放火犯を演じたチャ・スンウォンは、完全に独自の「サイコ犯罪者」像を新に作り上げたと言える。純韓国産ハリウッドライク・アクションに燃えよ焦がれよ!って感じの作品でした。

人物描写は甘いですね。ただ映画の表面には出てこない、サブ・ストーリーとしての人物背景には、綿密なものがあったろうと感じた。ストーリーを端折りすぎたかな。主人公の消防士(チェ・ミンス)と女性調査官のキム・ギュリが恋人同士だったなんてちっとも気づかなかった。テンポを犠牲にしてまで人物描写に時間を割いた方がよかったかとなると微妙だが。人物描写よりテンポ重視、みたいな所も含めて「ハリウッドだなー」と感じる。もっとも相変わらず序盤役者の顔を見分けるのがツラかったので、何か見落としているのかもしれない。でも今回はみんな顔が煤けて真っ黒だったし・・・。

最初のマンション火災で、放火犯は最後まで現場に残って炎をコントロールしたとされていた。「お前にこの中で呼吸が出来るなら、俺にも出来るはずだ」このセリフに意味も分らず感動を覚えた私としては、炎そのものの魅力に魅入られて放火犯となった男と、消防士でありながら職業柄以上の興味を炎に抱いてしまう男(しかも自暴的)の対決!を期待した。だが消防士はともかく、放火犯のほうは、その後は遠くから炎を遠隔操作するだけ。一個人が政府組織である消防隊より水理事情に詳しいのも理由が分らない。放火犯となる原因が幼年期に受けた虐待のトラウマだというのには、近年のハリウッドで使い古されているだけに、(この映画のせいというわけではないにせよ)飽き飽き&安易と感じた。まあ最後は紅蓮の業火につつまれ満足そうに(?)死んでいってくれたが。

ハリウッドとは違う良さを感じたのは、消防士たちを単に命知らずの英雄とするだけでなく、火に恐怖を覚える人間的な弱さを持たせていたところかな。サンウ(チェ・ミンス)の年下のパートナー、ヒョンテ(ユ・ジテ)が死の直前、何も出来なくなって茫然自失してしまうシーンはあまり好きくない。だが、民間人優先のためにゴンドラを先に行かせて自分は現場に残った消防士が、一人昂然と炎の方を振り返り、煙草を取り出して口にくわえ火を着けようとするが、恐怖のためライターに火が着かない。このシーンは良かった。

(余談)消防署といえばすべり棒スルスル、これ子供の頃憧れてたんだってことを思い出させてくれて嬉しい。なにしろ『ブリジット・ジョーンズの日記』ではそんなことちっとも思い出さなかったから。

80/100(02/05/04見)

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)tkcrows ina トシ[*] アルシュ[*]

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