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[コメント] アイズ ワイド シャット(1999/米)

キューブリックの遺言

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







「Fuck!」

いや、なにがって、fuckはfuckである。「sexしましょ」というニコール・キッドマンからもたらされた福音。そして「ひたすら男と女の熱病的で不毛な関係へと身をやつせ!」というキューブリックの遺言であり、メッセージでもある。あのキューブリックからのメッセージ?!

ベトナム戦争の前線をコンクリートででっち上げてしまった『フルメタル・ジャケット』(どう考えても、あんなコンクリートの残骸、ベトナムにはなかっただろうに)。一体、あのアメリカン・ニューシネマのベトナム戦争批判は何だったのかと、むなしくなるような何のメッセージもない‘箱庭’戦争映画の監督スタンリー・キューブリック。『2001年宇宙の旅』でミュージック・クリップやCMのような‘カッコいい’映像だけで(!)映画を作ってしまったスタンリー・キューブリック(実際、この映画からの引用と思われるCMもあったよね?)。‘メッセージ性’ほどこの巨匠から遠いものはなかったのだ(『博士の〜』みたいなのはメッセージじゃなくて、風刺ですから。『2001年〜』も左に同じ。あしからず)。いや、だからって、メッセージ性があればいいってなもんじゃないし、逆に、あんなメッセージなければよかったのにと思ってしまう映画もある(最近では『バトルロワイヤル』とか?)。しかし、やっぱりその映画を観た後で風景(世界)が一変してしまうようなメッセージというのも、映画には時には必要だと思う。

「Fuck!」

この言葉とともに逝ってしまったキューブリック。そして、イってしまった僕。

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そして、やっぱり映画はラストだな、と再確認。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)chokobo[*] 太陽と戦慄 crossage[*] ボイス母[*]

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