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[コメント] かもめ食堂(2005/日)

ムーミンに癒されすぎ
torinoshield

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







もうブームは過ぎたが癒される、って言葉が以前流行った。初期の意味合いとは違ってすっかり嫌みったらしい用語になってしまった。

この映画から感じるのはそういった後期「癒された」用語の方だ。北海道に脱サラして電気の無い所で野菜を作るとか、東京から長野に引っ越してペンション作っちゃうとか、そういう分り安すぎる逃げをうまくアレンジするとこうなる、みたいな。しかしネタを北海道や長野にしちゃったらさすがにやばいって直感的に感じるのは別段俺だけではなく、作った連中も重々承知なわけで。そこでフィンランドですよ。森で湖でムーミンですよ。

フィンランドにはまだ北海道や長野の様な胡散臭さが「日本人には」ない。人々はおおらかで自然を愛し静かな街に暮らしている小市民であり食事は質素で読書を好み物欲がなくて争いを避ける、みたいな。多分そうだろう、いやそうであって欲しいフィンランド人。(というかこれってムーミン谷住民だ)

まあ我々日本人もたびたび変な外人にそう思われているようで意味不明な尊厳を集められたりもする。めがね無くてボーっとしているだけで「オーコレガ悟りネ」とかな。要するにずっと向こうの芝生も青く見えるわけよ。

そこらを差し引いても日本食のなんともおいしそうな所や全く日本食を知らない人達に評価してもらう(=段々人が増えていく)ところなどは見ていても十分楽しい。最近は海外で和食がブームなようでむちゃくちゃなメニューが乱立しているようだ。焼き鳥と寿司とご飯がひとつの皿で出されるところとか(ご飯は焼き鳥のたれをかけて食う)。実際のところで言えば和食は和食でもこの映画の様なおにぎり、味噌汁、鮭の切り身などの方がよっぽど世界に通じる食文化だと思う。その視点は強く同意するところだ。

要はいやな言い方になるが癒されたい、(海外に)認められたいという日本人特性を結構綺麗にまとめ上げるとこんな作品になるのかも知れない。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)おーい粗茶[*] ペペロンチーノ[*] すわ ジェリー[*]

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