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[コメント] 市民ケーン(1941/米)

大きくなりすぎたアメリカ映画の世界に、その大きさをも凌駕する巨大なオーソン・ウェルズ降臨。アメリカ映画界は、未だにひれ伏している模様。
tomcot

アメリカ映画の40年代と言えば、それはもうそうそうたる映画が並ぶ時代。フォード、ホークス、ワイラー、キャプラ、ウォルシュ、、、。に加えて、ヨーロッパからも大量に才能溢れる監督達が流れ込んでもいた。ルビッチ、ワイルダー、ヒッチコック、クレール、ラング、ルノワール、、、。タイトルも挙げてしまえば、そのどれもがそれぞれに魅力的な映画ばかりであることは一目瞭然だろうけど、そんな中で、オーソン・ウェルズ25才のこの作品が放った異彩はとんでもなかったはず。ここまで監督一人の個性が映画の全面に強烈に表れて、一人がコントロールしきったような映画って、その時代のアメリカにはそうそう生まれ得なかっただろうから。(ヨーロッパで作家性を発揮していた監督たちも、アメリカではそうはいかなかった。)わきあいあいとした他の映画と比べたら、この映画の集中した緊張感はものすごい。しかも完成度は他の監督達の作品に全然引けを取っていない。となったらもうこれは大事件。その時アメリカ映画は、映画の歴史46年目にして、創造的な映画作りの原点に引き戻されたのではないだろうか。だからこそ今でも立ち返るべき原点として、1941年のこんな怪物のような映画が設定されてしまっているのだろうと思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ぽんしゅう[*] スパルタのキツネ[*] ゑぎ[*]

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