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[コメント] 鏡(1975/露)

時間軸を完全に無視したタルコフスキーの傑作。風に揺れ踊る草は重く湿っている。
カフカのすあま

ぎりぎりまで自分を追い詰めたところからやっと生まれてくる表現というものがある。詩人が言葉をつかい、画家が絵筆を使い、音楽家が楽器や声を使うなら、タルコフスキーは映画というかたちで、それを表現する。

「生まれてくる子どもは、男の子と女の子と、どっちがいい?」と訊かれた若い女 (マルガリータの二役) の表情がすべてを物語る。あの顔には、追い詰められた人間の畏れがみえる。

時間をゆうゆうと超越する心象風景。人が死ぬときは、きっと、こんな風に走馬灯を見るのではないかと思う。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (8 人)けにろん[*] ハム[*] 町田[*] washout[*] reif 甘崎庵[*] muffler&silencer[消音装置][*] chokobo[*]

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