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けにろんさんのコメント: 投票数順

★3レイジング・ファイア(2021/香港)恨を纏ったチームが強奪と殺戮を繰り返すのだが恨みの形成過程に今いち納得性がなく心を寄せ切れない。爆発・銃撃・格闘・カーチェイスなどが展開の流れに沿って直線的に配置され澱みがないのだが、佳境は前半にある麻薬組織の頭目とドニーのタイマンか。[投票]
★4孤独の報酬(1963/英)一応は成り上がりの成功者の話だが、労働階級の見通しの立たない恋愛を描いて、それが英階級社会の閉塞と相俟ってとことん救われない。レストランと結婚式のシークェンスは気持ちがすれ違う痛々しさをレイチェル・ロバーツが絶妙に体現して心に沁みる。[投票]
★3カオス・ウォーキング(2021/米=カナダ)心の中がバレバレになる世界やと疑心暗鬼とかないし皆んな50歩100歩のアホタレだとわかり案外平和かもとの深淵な考察はなく可愛子ちゃんの隣でキス妄想でアタフタレベル。しかも思考は煙のようなビジュアル付き。男女の善悪論に収斂する展開も胡散臭い。[投票]
★3死霊館 悪魔のせいなら、無罪。(2021/米)変異の発現が竜頭蛇尾であり、であるならウォーレン夫妻の描写に一層踏み込みむか、裁判を精緻に描いてほしかった。そういうスピンオフ的なアプローチができそうな題材と思うから。憑依に誘導される断崖での瞬時の視線の交錯。こういうのをもっと見たかった。[投票]
★4欲望のあいまいな対象(1977/仏=スペイン)モノにできると思っても寸止め喰らわされる繰り返しの単線構造艶笑譚だがブニュエルのシュール意匠が薬味のように随所で差し挟まれ味を引き立てる。加えて列車コンパートメント内での叙述形式がもたらす文学的な趣。韜晦趣味のかけらもない自己実現と終。[投票]
★4フレンチ・ディスパッチ(2021/米)半眼開きの爬虫類デル・トロセイドゥが静止画のように画面を制圧する様が圧倒的で、この第1話のみで評価する。休刊する雑誌の記達への想いはアンダーソンには皆無で挿話の諧謔味こそが全て。その割には2・3話はお手盛りで弾けてくれない。[投票]
★3パーム・スプリングス(2020/米)男の来し方が明らかになるにつれコメディベースの展開から途方もない時間軸の閉塞が浮かび上がり笑ってる場合じゃないとなってほしいがそうでもない。マジ配分の匙加減が今いち。男は惰性に安息を見出し女はそれを我慢できない。それは世の理かもしれない。[投票]
★3怒りの日(1943/デンマーク)姑の執拗なな嫁いびりや教会の恣意的な魔女裁定など解り易いテーマが描かれるが、そのことによって何か深淵な心理が暴かれるわけでもない。抑圧による怒りが潜在能力を解放する『キャリー』あたりと同根の物語に見える。火刑の即物的な禍々しさは比類がない。[投票]
★3マジック&ロス(2010/韓国=日=マレーシア=香港=中国=仏)廃リゾートの安宿の寄る方ないバカンスは2人の女子の言語不通もあり生気を蝕んでいく。模造品で彩られた世界に期待されたマジックはなく何かを失い続けるだけ。ベルボーイに誘われ飲みに出かける顛末は『息もできない』の2人と重なり虚しさを倍加させる。[投票]
★2モスラ(1961/日)羽ばたきの衝撃波で崩壊する昭和30年代の家屋群の瓦屋根の隙間から火災の猛煙が噴き上がる。そのディテールの細緻さに感銘した。だが所詮は昆虫界最弱と思われる鱗翅目のドデカ版たるモスラは怖くなく小美人の言うこときく良い子ちゃん。主役の柄じゃない。[投票]
★3マクベス(2021/米)簡略化されたセットの鋭角美の中で繰り広げられる古典劇だがナウな訴求性があったかは疑問。何より浅薄な思慮で魔道に堕ちるにしてはデンゼルは人格者めき、奸計を巡らし夫を誑かす毒婦マクドーマンドに妖艶さの欠片もない。魔女の凶々しさのみ絶品。[投票]
★4虹に向かって(1977/日)木製人形の瓜実顔の余りにプレーンなフォルムと民芸フォーク調の余りにベタな劇伴が今更の和製ロミジュリ物語を反転させ類い稀な強固な世界を現出させる。上塗りされた2重3重のベタが形成する岡本忠成の到達点。架橋作業のテクニカルな造形も見せ場。[投票]
★4悪なき殺人(2019/仏=独)風土正反な舞台の跳躍や視点の差異を活かす時制反復など空間と時間という映画表現の特質を最大限に利する。不穏な予兆を孕む普通じゃない人々の物語を傍に追いやり主線となる普通の男の顛末は不均衡のきらいはあるが真っ当に哀しい。ラストのシニカルな余韻。[投票]
★3パーフェクト・ケア(2020/米)サギに気づかせない矜持はなく余りに強引な捻じ伏せ手法に抱いた反感と嫌悪は、新たなプロヤクザの登場で立場が逆転し雲散する。どっちもどっちが形成するドラマトゥルギーを昇華させる何物かは存在せず心は退いていく。ラストの帳尻も一応つけただけみたい。[投票]
★4G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ(2021/米)破綻のないことも良いことだと思わせるストーリーラインの安定。4つ巴の攻防戦と勢力間を揺れ動く頭良くない主人公が予断を許さぬ興味をかき立てる。アクション演出は中の上程度だが必要十分だし変な国ニッポン意匠も真摯さが伝わりグッド。上出来の前日譚。[投票]
★3テキヤの石松(1976/日)テキ屋の啖呵は寅次郎、高嶺の花に岡惚れは桃次郎の劣化コピーであり良くもまあと思うのだが松方は一所懸命演っている。吉本勢の好サポートもあり退屈はしないが、後半の一大ペテンは哀しいまでに茶番で新喜劇めいている。小池の胡散臭さが映画的。[投票]
★4アイダよ、何処へ?(2020/ボスニア・ヘルツェゴビナ=オーストリア=ルーマニア=オランダ=独=ポーランド=仏=ノルウェー=トルコ)ボスニア紛争も又宗教由来であったことや国連軍がクソの役にも立たぬことなど世界標準のリアルを知らねばならない。アイダは最後の最後まで足掻き続ける。2人の息子の1人でもの言葉は彼女をも引き裂く。男の俺は耐えられない。業苦の中で生き続けることも。[投票]
★3マリグナント 狂暴な悪夢(2021/米)デ・パルマ経由ジャーロ行きの筈が『ターミネーター』に着いちまったのを振り切れたと歓迎したい気もするが全然怖くないという戸惑いも。女囚監房から刑事部屋に至る大盤振る舞いは最早何の映画見てるのかのトランス状態。納得顔のラストが一番怖いかも。[投票]
★3火宅 能「求塚」より(1979/日)2人の男に思われ双方を斟酌して決める事適わない。それで地獄の業火に焼かれて堪ったもんじゃない筈が更に追い打ちかけるエクストリームなサディスティック&マゾヒスティック。古典の時代通念を斟酌せぬまま出されて茫観するしかない。技術は目を見張るが。[投票]
★4エターナルズ(2021/米)何万年もに亘る生き様は創造主が殺虫剤として作った捨て駒としてであった。マーベル大風呂敷の中で有りがち譚として見過ごせるがクロエ・ジャオは中共への忸怩たる思いと重ねたのか。派手さ抑え目の透徹された沈鬱はラストの巨神兵でナウシカと連結する。[投票]