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[コメント] メトロポリス(2001/日)

手塚治虫を否定する宮崎駿と、肯定する大友克洋の意図がりんたろうによって破壊された映画。
chokobo

ただただ美しく綺麗な映画。ほんとに見とれてしまいました。

しかしながら、映画は映画としての存在を主張しなければならない。その意味においてこの映画で、あの『AKIRA』を作った大友克洋の価値は大きく失墜したと言わざるを得ません。

手塚治虫先生が大友克洋の作品に接した時のエピソードで「これぐらい僕にも書けるんだよ」といったことが証言として残されています。結局手塚治虫という人は天才でありながら、周囲との関係をストイックに追い込むことで、死ぬまで自分の価値を高め続けた人だったんですね。

多くの方が知る通り、宮崎駿監督は手塚治虫の影響を根底から否定します。それはその存在が偉大であることと、自分の価値とを全く別次元に置くことで逆説的に手塚治虫の価値を高めることになるからなのです。

逆に大友克洋手塚治虫の影響を肯定することで、全く別の世界を追求しようとしているのです。

今回の敗因はやはりりんたろうだと思います。これだけのコストをかけてこの程度の内容、全く意味を持たないプロット、そして何よりも原作を逸脱したことで(それ自体は誤っていないのですが)映画としての存在価値を失っているように思えるのです。

映画は映画としての価値を失ってはならないと思います。むしろ原作の方が映画らしさに満ちていました。かならずしもそれをそのまま表現することが映画ではありませんが、今回は大友克洋の価値をりんたろうが破壊したと言える作品だったと思います。

(評価:★2)

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