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[コメント] 2046(2004/中国=仏=独=香港)

頭にハテナを浮かべて劇場を後にするカップルの男の子に激しく同情する。
づん

最近のウォン・カーウァイの映画は素直さがないと思う。同じストーリーでももっと分かり易く作ろうと思えば可能な筈なのに、わざと難解にしようとしている気がする。それはデビッド・リンチのそれとは全く異なるもので、どこかしら厭味な匂いがする。

彼の世界観は好きだし、観ている間中気を緩められないオーラが画面から漂っているのも良い。ザラついた良質な音楽と視覚を刺激する映像美も素晴らしい。それゆえ難解に見せようとする厭味なストーリー運びが殊更目に付く。

日本では木村拓哉の影響で相当の動員数が見込まれると思うし、彼のお陰で沢山の人がウォン・カーウァイの映画を初めて観る事も予想される。そういった意味では木村拓哉の起用は意味があるように思えるが、カンヌ以降に追加で撮映されたと言われる部分がジャニヲタの私には微妙に違和感。どちらも同じ木村拓哉なのだが5年の歳月が彼の表情から見て取れる。それがやけに気になってしまった(そんなのヲタだけだよー)。

キャストも素晴らしく、コン・リーチャン・ツィイーの世代を超えた田舎娘対決を楽しみにしていたのだが、どちらも意外に垢抜けていて、また共演シーンもなかったのが少し残念。それにしてもトニー・レオンは素晴らしかった。若い頃の青臭さも払拭され、いい男になったなと思った。

とにかくウォン・カーウァイにはもう少し素直になってほしいと思う。テーマを活かしきれていないような歯がゆさが残った。ただ、『花様年華』では意味の分からなかったラストが今回やっと分かったので、もういちど『花様年華』を見直してみようと思う。その後でまた『2046』を観てみるのも良いかも知れない。

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04.10.28 記

(評価:★3)

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