[コメント] ナビィの恋(1999/日)
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初めずいぶんへぼい映画だと思った。冒頭奈々子が帰郷する船のシーン。ひょっこりひょうたん島の使い方もうまいんだかあざといんだか判断に困る。
予備知識まるでなかったので、ナビィがおばあのことだと気がついてそういう話か、と思った。メルヘンとしては異色。私は行け行けナビィ派。それも皆おじいの深い胸のうちという扱いも大賛成。
小笠原に3年住んでいたので、南の島の空気感にはなじみがある。小笠原とは微妙に違うが、良く出ていた。沖縄・音楽の素材はすばらしい。ブーゲンビリアの赤にワンピースの赤、カルメン!路上楽団もやりすぎだが楽しげ。公民館でアイドルが歌う松田聖子も良かった。このアイドルの描き方、いかにもドサ回りという感じでうまい。おばあが60年越しの駆け落ち成就して、残された奈々子がすがりつくシーンもリアル。他にもいくつか光るシーンがあるのは皆様ご指摘の通り。
それらを除くと結構退屈でへぼいところが多い。ユタの取り上げ方はステレオタイプでインチキ宗教のようだった。ユタは人生で耐え難い苦難を経験した女性がその苦しみを昇華させてなる、とものの本にあった。だからユタは共同体の保持(家がつぶれる)と問題となる個人(この場合ナビィ)のケアとの双方を担わなければならない。その辺の葛藤をきちんと描いてくれたら、ナビィの恋も輪郭あざやかなドラマになったのではないだろうか。そもそも、ナビィはおじいに救われなければ、ユタになっても不思議はない設定である。実際のユタはそんな小難しいもんじゃなくて、結構インチキだよ、と現地の人に言われれば、はあそうですか、と引き下がるしかないよそ者のロマンチシズムだけど。北国バージョンがあるとすればイタコの登場を強く願う。
ラスト結婚式のシーン、これはこれで楽しめたけど、フェリーニが撮ったらどうなるんだろうか、などとつい気がそれてしまう。
それにしてもコメンテータの皆様のコメントを拝見していると、いちいちうなずけること多く、また裏話もよくわかり、好き嫌いの判断はあるけど、映画の価値判断は人によってそれほど変わるモノではないことをいまさらながらに感じ入った。
なんとなく映画を見て、シネスケをチェックすると間違いなく2倍楽しめる。シネスケの存在を再確認させてくれた映画でした。
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