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[コメント] シックス・センス(1999/米)

多分、これを観た人は「悔しい」と思うか、半ば誇りを持って「悲しい」と思うか、だと思う。でも、「悔しい」と思った私は正しい映画の観方をしたのだと思う。
甘崎庵

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 “例のオチ”で有名になった作品だが、実際抑えめの照明と言い、微妙なカメラ・ワークと言い、映画の質はとても高い。まさしく“例のオチ”を感じさせないように全てが仕組まれている。わざとホラーのような手法を用い、“怖さ”を隠れ蓑としていること。落ち着いた色彩の中に、特殊な色(具体的には赤色)を用いることにより、目をそちらの方に向けることによって。実際赤という色は精神的な危機を表すためには非常に有効な手段。そしてマルコムであれ、コールであれ、精神的な成長を見せることで、そちらの方に鑑賞者の意識を持っていくことによって。人物描写が実に細やかに作られている。そして勿論効果的な音楽によって。

 最初ホラーと思わせておいて、実は心理もの、いや、本当は心の成長を…そう思わせておいてあのオチに持っていった。

 これだけの計算された効果は勿論最後のオチに気付かぬよう作られたものだろうが、一歩引いてみると、映画そのものの質の高さが分かってくる。

 私がこの映画を観たのは劇場でだが、様々なメディアで「この作品には謎が隠されている」と書かれていて、それでまあ、たいしたことはあるまい。そう思って観に行った。更に映画の冒頭部分で「この映画のラスト5分には…」というのがあって、えらく念の入った、それでも理性的に観ていればそうたいしたことはあるまい。そんな風に思っていたのだが…

 完全に騙された。あのオチは凄く悔しかった。だけど、騙されたからこそ、幸せだったと今では思う。

(評価:★5)

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