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[コメント] レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989/フィンランド=スウェーデン)

「バンド」というよりも、演奏をする「共同体」。
グラント・リー・バッファロー

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
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皮肉に満ちていて、それでいてサマになっているところがかっこいい。

あの「大五郎カット」(←借用)の男は、村を追われた半端者という設定なのだろうか。追われた原因が彼らの誇りである髪を自分から切ったからなのか、それとも掟に反するようなことをして髪を強制的に切られ追放されたのか。いずれにせよ、新芽のようなトンガリヘアーの生え始めが、村を追われた「刻印」として刻み込まれていて、それでもバンドを追いかける男のけなげさが妙な哀愁を漂わせる。

そんな「新芽の」男や、アメリカに渡った男、氷漬けの男が復帰したくだりは、この共同体が離れ離れになった者との絆を回復していく過程と思えた。しかし、次回作のくだりを見るにつけ、けっしてハッピーエンドではなく、この共同体の受難は以後も続いていく。冷戦という背景も意識しているのだろうが、それ以上に次回作で濃厚に打ち出される独自の宗教観のようなものをほのかに感じた。

そして何よりも、アメリカを車で南下していくという話全体の構造に惹かれるものがあった。なかなかの力作。(★3.5)

*トンガリヘアーは「リアルあしたのジョー」というよりも、「リアル井沢」と思ってしまった稲中世代の私。(そんな世代あるのかという以前に、そもそも本作のほうが前に作られているのだが)

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)DSCH 寒山拾得[*] けにろん[*]

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