まず前作から通じて、「主人公たちが仲が悪い」っていうのが最高にいいです。「お互いがお互いをバカだと思っている」関係が、下手な友情や信頼に汚されずに一貫しているのが気持ちいい。そして中でも一番のバカ、桜（郷［金英］治）が、その期待を裏切らずに最高のバカで居続けていてくれるのが気持ちいい。

　また前作よりキャラが立っているのも良かったです。「桜が金庫破り上手」とか、「エミ（中島ゆたか）がマナーを知らない」など、前作にはなかった設定が次々登場することで、それぞれがより魅力的になってきているんです。

　とはいえ「何故かエミとイチャついている桜」だの「何故か志穂美悦子がチャイナドレス」だの、あまりに唐突な設定、回収し切れていない展開もあちこちに目立ちます。いや、多分回収する気なんてサラサラないんだろうな。結局のところその辺りの「バカ投げっぱなし」感が、むしろ今作の浮かれた魅力に繋がっているんだと思います。

　実際ラストの「何故かみんな総監から見放されて網走送り」なんて、嵐寛寿朗を出したいっていう以外に何の必然性もないですからね。これが許せるのは楽しかったってことなんでしょう。「頭を空っぽにして楽しむ映画」ですらない、「頭を空っぽにさせられてしまう映画」。こんなのばっかり観てるとバカになります。