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[コメント] アリス・イン・ワンダーランド(2010/米)

無垢なる少女の異郷巡りが、大いにセンス・オブ・ワンダーを刺激した原作の続編では、主体性を持って戦う女性の背景に廻った異世界は、もはや精彩を失っていた。皮肉なことではある。
水那岐

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







ティム・バートンのかつてのファンとしてその新作を心待ちにしていた自分としては、随分面白くも無い点数をつけなければならない。残念でもあり、悲しいことでもあるが、牙を抜かれた虚勢犬に堕してしまった彼の姿を見せつけられては詮無いことだ。

何であれ、いかにCGに力を注ぎ込んでいようと、単なるひとりの女性に成長する少女の物語の助け手になってしまっては、異世界はそれ自体の意味を失ってしまう。思えば言葉遊びのペダンティックな魅力をそのままヴィジュアルに活かしたディズニーのアニメーションは、何と唯一無二の光を放っていたことだろう!この2時間で印象に残っている美点が総て美術的側面にしか見い出されないことは、なんとも残念である。ディズニーが古巣であるバートンではあるが、そこでここまで毒気を失ってしまうのは意外ですらあった。しかしもはやナウシカもどきなど観たくもない。戦って自分探しをする女性の話なら、もっと現実的なステージでの傑作が沢山ある。ルイス・キャロルがこの作品を観ても苦い顔をするとしか思えないのが、実際この作品を見終えての実感であった。

ファンタジーに教訓など必ずしも必要ないことを教えてくれたのは、バートン、貴方ではなかったか?

(評価:★2)

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