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[コメント] シルミド/SILMIDO(2003/韓国)

この類の話は歴史上どこの国家どこの民族にも存在するに違いない。こうした事実にスポットを当てるのは意義のあることだと思う。
緑雨

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







だが、残念ながら本作は、その映画化に成功しているとは思えない。どうも演出の拙さばかりが目についてしまう。

例えば、脱走した二人の訓練兵が女性を犯すエピソード、「赤い旗・・・」の歌、訓練兵に優しかった方の2曹が最後の最後に見せる豹変、それら一つ一つの演出が何を狙ったものなのか自分にはよく伝わってこなかった。どうもすべてが唐突なのだ。一貫しない演出に翻弄され、訳のわからないキャラクターに仕立て上げられてしまった小太りの訓練兵、彼が一番不憫に思えた。映画全体に散らばったショートストーリーを有機的につなげていくという手法が、本作には欠けているような気がする。チョ2曹が飴の袋を落とすシーンだけは唯一成功していたと思うが(ベタだけど)。

時代背景の描写が不足していることも気になる。本作の主題は、国家に都合よく運命を弄ばれた684部隊に関わる人々の無念さであることは明確である。一方で、当時の南北関係の実情等についてはほとんど描いておらず、北に対しては融和政策で臨むべきか、敵視すべきかという点についてのスタンスも捨象されている。製作側からしてみれば「そんなことは描きたいテーマではない」ということになるのだろうが、観る人によっては、現政権の対北融和的態度の反作用として「やはり北に対しては強硬にあたるべきなのだ」という製作側の意図しないメッセージとして受けとめてしまう恐れがあるのではないか。

★3は、684部隊事件の歴史事実としての重さと、日本の俳優にはもはや期待することのできない韓国の役者たちの迫力溢れる表情に。

(評価:★3)

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