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[コメント] 風の谷のナウシカ(1984/日)

風を受けてメーヴェがふわっと浮き立つ身体感覚だとか、腐海の底に流砂が落ちていく触感だとかをアニメーションという手段を使って完璧に表現した。そうした細部にこそ真髄があり、世界観を支えているのだと改めて思う。
緑雨

この作品が公開された1984年3月、当時小学五年生だった自分は、何の先入観もなく観たにも関わらず、子供心にも腐海や巨神兵が核戦争後の世界のメタファーであることを直感的に理解した印象が残っている。まだゴルバチョフが登場してペレストロイカを始める以前だったあの時代、米ソの核戦争というのは「現実的な恐怖」として社会の共通認識になっていた。今回、当時の自分と同じ小学五年生となった長男といっしょに地上波で放映されたのを観たのだが、彼にはそのような印象はまったく生じなかったようだ。現実的な脅威が減ったのかどうかは別として、その感覚の違いは健全な変化として前向きに捉えたい。

ところで、途中、緊迫感のあるシーンになると、ファミコンのゲーム音のようなBGMが流れるのに、うちの子供たちは失笑していた。シンセサイザー全盛だったからね。当時は気にならなかったのだけれど。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (4 人)けにろん[*] DSCH[*] 寒山拾得 ぽんしゅう[*]

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