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[コメント] インファナル・アフェアII 無間序曲(2003/香港=中国=シンガポール)

前日譚と聞いていたけれど、これはむしろ「前作で端折ったところを詳しくお見せしました」というシロモノですね。いや、いっそ本当にウォン警部とサム兄貴の因果は巡る前日譚をやってもらった方が良かったんじゃないか。
movableinferno

**ネタバレ注意**
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「前作では時間の関係でお見せできませんでしたが実はこのお話にはこんな事実が隠されておりましてね…」というようなことを、後づけでやってしまうのは相当の荒業ですわ。まあやっぱり辻褄が合わなくなりますこんなことしたら。それでも、ウォン警部の兄弟分たるルク警視が爆死するあたりまでは前作よりもよほど正統な黒社会ものとして(『ゴッドファーザー』からの置き換えつぎはぎに過ぎぬとしても)個人的には好みでした。

しかし…前作もそうでしたが、登場人物の行動に一貫性がなさ過ぎる、この映画は。いや、一貫性が無くてもそれはそれで構わないんです。ただしその場合は、その一貫性の無さを観客に呑みこませるだけの説得力を持つ人物描写がないと。

なんでサムとウォン警部はこんなに信頼しあっているの?それがなんで前作のようにお互いの命を狙うような間柄になってしまうの?

なんでヤンは警察になりたいの?なぜそんなにも善人になりたいの?腹違いの兄に対してどんな思いを抱いているの?その兄を追い詰めたサムに対する思いは?

なんでラウはマリーを組織に売ったの?想いが通じなかったからって殺すほど憎かったの?そのあとボスに再会したときどんな気持ちだった?

…と、こんな疑問を次々に観客の頭に思い浮かばせるようではいけないんです。しかもこれ全て物語のキモですよ。それがこんなに呑みこみにくいんじゃ、話は散漫かつ冗長にしか感じられず、辛かったです。

そんなでもやっぱり、アンソニー・ウォン、エリック・ツァン、ン・ジャンユー、ロイ・チョンが画面に登場するとビッと締まります。特にン・ジャンユーのインテリヤクザな風情はなかなか新鮮でした。それに引き換え若者二人はちょっとキツいね…特にエディソン・チャンが笑うとアホっぽくて見ていられませんでした。『ツインズ・エフェクト』みたいな映画でならそれも可愛いんだけどね。

(04.10.07@梅田ブルク7)

(評価:★3)

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