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[コメント] ブロードウェイと銃弾(1994/米)

もう、本当に大好き!映画としての完成度は文句なし。残酷なようで愛を感じた映画。
ごう

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







チーチは撃たれて死にました。

でも彼は間違いなく傑作を作り上げました。もし、彼がそのまま生きていたとしたらそのままマフィアの世界で生き続けたのでしょうか。それはないと思います。なんてったって親分の女を殺すという不義理をやっちゃった訳ですから。それをごまかし続けてやってくほど器用な人間ではないと思います。

それでは劇作家になったらどうでしょう。そうなると今度は彼がデビットになる番です。巨大な産業の中で自分の愛した作品が他の人によって変えられていく。きっとそういう経験をいずれはしたに違いありません。

そういう訳で、僕は彼を殺した、ある種最高のタイミングで人生の幕を下ろさせてあげた監督ウディ・アレンの、彼に対する愛を感じました。

デビットに関してもそうです。

彼だってショービスの世界で生き続けようと思えばしばらくは生き続けることだって出来たはず。実際そういう人っていますよね。でもそれだけでずっと生き続けてはいける世界ではない。いずれは駆逐されていくはずです。ただもうその頃には彼は普通の人には戻れなくなっていると思いますが。

そういう訳で、僕は彼を引退させた、絶望し取り返しがつかなくなる前に新しい人生を自分の意志で歩み始めさせた監督ウディ・アレンの、彼に対する優しさを感じました。

きっとウディ・アレン自身も長いことショービズの世界にいて、似たような経験や身近にそういう人を間近にたくさん見てきたんじゃないでしょうか。

毎回この作品を観るたびに僕は大笑いします。でもラストになると寂しい気分になってしまいます。

「君はどうだい?」って聞かれている気がして。

(評価:★5)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)picolax m かける ドド[*] ina じぇる[*]

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