[コメント] 大いなる西部(1958/米)
ワイラーはグレゴリー・ペックをヒーローとして何の疑問も嘲笑もなく描いている。この嫌みで胡散臭いキャラクターを一点の曇りもなく「男らしさ」の象徴として描くスタンスには私は虫ずが走る。
この映画は、パール・アイブスとジーン・シモンズに尽きる。この二人が映画の良識を担っているのであれば、ことは簡単だ。しかしながら、ワイラーはグレゴリー・ペックをヒーローとして何の疑問も嘲笑もなく描いている。この嫌みで胡散臭いキャラクターを一点の曇りもなく「男らしさ」の象徴として描くスタンスには私は虫ずが走る。ワイラーが普遍的な(22世紀の映画ファンをも納得させるであろう)人物造形を獲得し得ない点はこういうところにある。変に似非ヒューマニズムなど描かず『必死の逃亡者』のようなピカレスクに徹したワイラーの方がずっと良いと思う。
しかし、女優だけで言えば、廃屋のシーンのジーン・シモンズの可愛らしさはちょっと比類ない。キャロル・ベイカーが足下にも及ばない。
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