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[コメント] ヘイトフル・エイト(2015/米)

ジェニファーの始末に躊躇すればするほど、作劇の作為は露呈してしまう。ミステリーよりも過去の野蛮をオカズにして現代文明の肯定をやる社会小説にますます傾注しているために、作為を隠そうとする意思がない。
disjunctive

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







しかし作為は社会小説の享受を阻害しかねず、教条性から独立しながら社会小説であり続ける何らかの高みに物語は達せねばならなくなる。われわれが目撃するのは、サミュエルとウォルトン・ゴギンズの負傷を契機とする事実上の難病映画へのジャンル転換であり、緩和ケアの進歩で快活になった末期患者がかえって内省を迫られるような不条理と現代文明の賛歌の曲芸的な接続である。それらはリンカーンの手紙が嫌味なく爆発する要件であろう。

(評価:★4)

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このコメントを気に入った人達 (3 人)ロープブレーク[*] けにろん[*] DSCH[*]

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