[コメント] バリー・リンドン(1975/米)
キューブリックの最高傑作を選ぶとすればそのフィルモグラフィの半分が候補に挙がってしまうと思われるが、これもそのひとつ。仮に最高傑作ではないにしても「最高到達点」であることは間違いない。映画史に屹立する画面美。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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ライアン・オニールの成り上がりは確かに彼が自身の運命を切り開いていった結果なのだが、「単に運がよかっただけじゃないの?」と思えてしまうのはオニールがいかにも愚鈍な顔つきをしているからだろう。「華のなさ」と云い換えてもよいこのオニールの愚鈍さを受け容れられない観客も多いだろうが、この愚鈍な顔つきこそが栄華を手に入れてからの展開、すなわち連れ子に対する扱いのまずさ、実子の溺愛、没落、などを対観客的に正当化している。最後の決闘シーンでは、愚鈍さが一周回って凄腕ガンマン的な悟りの境地に達したかのごとき描写がなされていて、実に面白い。まあその直後にはやっぱりただの愚鈍な男に変わりなかったということが明らかになるのだけれど。
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