★3 | いぬむこいり(2016/日) | あっち側に行ってこっち側の生温い平穏を叩っ斬るようなルサンチマンは影を潜め、高所から胡乱な講釈垂れてるような体たらくだ。紛争地域である「島」が我々の何を照射するのか見えぬでは形骸だし済崩しのカタストロフは逃げだ。それでも第2章だけは面白い。 | [投票] |
★3 | 光(2017/日) | 3人の子供時代を描いた島の部分が不可思議なほどに手抜きだ。そのために彼らを呪縛するトラウマが生半可にしか伝わらない。というか珍紛漢紛。なのに、勿体ないくらいの力演を皆が競って大層な熱量だ。下手すりゃ見る者は抗っても強引さに蹂躙される。怪作。 | [投票] |
★4 | タロウのバカ(2019/日) | 器から零れ落ちた水は元には戻れないという現実を見ないようにしている我々への問いかけ。全ての社会性から遮断された場所では窃盗・傷害・強姦を阻む倫理も崩壊する。その果てには自壊しかないのだ。アンチヒロイズムの極北。到来するそういう時代への警鐘。 | [投票(1)] |
★4 | 湯を沸かすほどの熱い愛(2016/日) | 報われぬ人生に気付かぬのでなくそういう価値観を持たないのだ。辛苦を乗り越えてきても自己憐憫は皆無。彼女はただ他者を抱きしめる。愛よりもう少し崇高な感じ。ただ、葬儀でああするなら彼女の仕事に対しての思いを丁寧に描かぬと成り立たない。強引だ。 | [投票(4)] |
★4 | さよなら渓谷(2013/日) | 『砂の器』よろしく付加された「道行き」が受難と贖罪に纏わる怨恨パワーの凝結を示現して宗教的荘厳にまで至るかの見せ場なのだが、それでも、そこを敢えて描かない原作の志が高く見えてしまう。とは言え、全篇、画面に漲る弩級の充実は本当に素晴らしい。 | [投票(2)] |