エフティミス・フィリプの映画ファンのコメント
憐れみの3章(2024/英=米) ストロングマン(2015/ギリシャ) 籠の中の乙女(2009/ギリシャ) 聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017/英=アイルランド) ロブスター(2015/アイルランド=英=ギリシャ=仏=オランダ=米)が好きな人 | ファンを表示する |
DSCHのコメント |
憐れみの3章(2024/英=米) | ランティモスの明快で簡潔な作家性のインデックス。即ち、「概念」(愛、ルール)の奴隷たちによる戯画。「概念」から解放されて手持ち無沙汰な「自由」の戯画。束縛と自由の両極を繰り返し揺れ動き、リバウンド、肥大化する「概念中毒」の滑稽味。概念の喪失、捏造、変性、歪曲、、、こんな既存概念依拠の感想も嗤っている節がある。 [review] | [投票] | |
籠の中の乙女(2009/ギリシャ) | 無菌世界、というのは幻想で、見てくれの清潔さと裏腹に強い腐臭が鼻をつく。国家的集団の最小単位「家族」を通して「ブリーダー」の死、全体主義の自壊を解説する不条理劇。ランティモス版『家族ゲーム』という感じか。だが、寓話寄り過ぎで抽象度が高く、強度は低い。 [review] | [投票] | |
聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017/英=アイルランド) | 開胸手術、ドクドクと脈動し蠢く心臓を接写でとらえるグロテスクなオープニング。「美しい」人間の薄皮が剥かれてあらゆる悪意が臓物のようにごろりと転がされていく作劇は、この開巻から予告されている。悪意、演出はハネケ、キューブリックからのいいとこどり。バリー・コーガンの上目遣いで相手の目の奥、心の奥底をのぞき込むような青い瞳が、狂気で濁っているのではなく信念で澄んでいるのが怖い。 [review] | [投票(4)] | |
ロブスター(2015/アイルランド=英=ギリシャ=仏=オランダ=米) | (多分)少子化、右傾化、からの全体主義が煮詰まると「愛」という「概念」が死ぬらしい。『散歩する侵略者』に「概念」を奪われてメチャクチャなままに放置されたような世界観。間違いだらけの「愛」の実践(「講義」のバカバカしさ)から「じゃあ正解の愛ってなんだっけ」の宙づり感へ。愛の嘘を暴いて冷ややかに笑うレア・セドゥの「間違ってるのに正しい変なテロ」が不思議。 [review] | [投票(3)] |