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[コメント] 花と蛇(2003/日)

令夫人は10億円で売られたわけだが、杉本彩はいったいいくらで自分を売ったのだろう。終始、彼女にオンブにダッコの、おじさん達のためのハードなアイドル映画。まあ、あんまり悪態つかずに「久しぶりにエエモン見せてもらいました」と言っておこう。
ぽんしゅう

70年から80年代、おじさん達がまだ少年や青年だった頃、夢にまで見た股間の黒い毛、惜しげもなくスクリーンにさらけ出し熱演する杉本彩嬢にはただただ頭が下がるだけ。

しかし、サディスティックな快感とは道徳性や社会性といった人間臭さをもつ者が一方的に責められることにより、羞恥にさいなまれながらついには倫理の壁を突き抜け、人間性を失ってモノと化していくさまを見るときに起こる後ろめたさを伴った嗜虐的快感であるはず。

にもかかわらず、人並みはずれた美貌、美形の持ち主である杉本嬢は、端から人間性を超越した人形そのものであり前述した快楽への過程が成立せず、見るの者の嗜虐的快感が半減してしまうという欠点を合わせ持っていた。それは杉本嬢よりも未向嬢のSMシーンの方が一瞬ではあるがより激しいサディスティックな快感を見る者に与えてしまうという事実が証明している。これは、未向嬢が物語の中で与えられた職務上、より多くの道徳性や社会性を観客に認識させていたからに他ならない。

この作品が期待を上回ることなく終わったのは、杉本彩という美的モンスターの外見に負うばかりで、主人公の身分を世界的ダンサーにして社長夫人というスローガンだけに終わらせてしまい、始めにその人間性を描かなかった石井隆監督の物語を構築する過程での手抜きに起因している。

(評価:★3)

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このコメントを気に入った人達 (5 人)G31[*] ピロちゃんきゅ〜[*] ホッチkiss[*] sawa:38[*] けにろん[*]

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