コメンテータ
ランキング
HELP

[コメント] トロイ(2004/米)

「イリアス」の中の有名な物語。絵本にもあり、当然ストーリー・結末はわかっている。問題は、アキレス、パリス、ヘクトル、誰に感情移入するかだが・・・、それはヘクトルだった!ヘクトルエリック・バナの魅力に加点して何とかこの点か。
Osuone.B.Gloss

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 ストーリーはホメロスの「イリアス」が基になっているので、多くの人が「トロイの木馬」の物語を知っている。ギリシャ軍の勝利とトロイの滅亡は明らかなのだ。

 では、登場人物の誰に惹かれたか?誰に感情移入して映画を追ったか?

 まず「パリス」は噴飯者だ。和平交渉の席から相手の妻を略奪してくるという愚行を許せというのか?(訪朝で小泉首相側近の誰かが、金総書記の愛人でも連れてきてしまったら、交渉がどうなるかぐらい誰でもわかるというもの)さらに、決闘では腰を抜かしながら逃げ帰る始末だ。結局、兄貴に尻ぬぐいしてもらって生き延びている。「愛」のための戦いなどと、きれいごとを言うけれど、お前の愚行のために何万人もの人間が死んでいるんだぞ!連れてくる段階で、この結果は明白だったのに。

 「アキレス」は主役ではあるが、理解できない部分も多い。なぜ、あの巫女に惹かれたのか?その巫女に殺されてもいいと思ったのはなぜか?ナイフを首に突きつけられて「Do it!」と言えるのはなぜか?「今死んでも、50年後に死んでも同じ」ということなのだろうが、戦闘の中ならいざ知らず、あの段階の巫女に殺されても本当にいいのか?結局、トロイ攻略の最中に女を探し、すきを見せて死んでしまう。孤高の戦士ということはよく伝わってきたが、感情移入はできなかった。

 さて「ヘクトル」だ。最高だよ。あんたは男だ。弟の愚行をかばい、国を守るために、男の、そして戦士の誇りをかけて死んでいった。「息子が乙女に追いかけ回される姿を見たい」という父親の願いは、国のために戦う男達には叶わぬことなのか。イラクで戦死しているアメリカ兵にも家族がいるのだと思い出した。無論、イラクの人々にも。・・・・ヘクトルの不幸は、本当に愚弟をもってしまったことだ。そして、それを憎めない性格だったことなのだ。

 だから自分はこの映画は「ヘクトル」の映画だったと思う。弟への愛、王子としての責任、軍の統率者としての責任、家族への愛、戦士の誇り、様々な葛藤の中で男らしい死に様を選んだヘクトルの話なのだ。

(評価:★4)

投票

このコメントを気に入った人達 (6 人)ジェリー[*] makoto7774[*] IN4MATION[*] ALOHA[*] プロキオン14[*] Myurakz[*]

コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。