[コメント] ガメラ 大怪獣空中決戦(1995/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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……とまで言ってしまっていいと思う。この映画がきっかけで、『ゴジラ2000ミレニアム』以降のゴジラの作り方も変わったことは明らかだし、怪獣映画に対する(怪獣ファン以外の)観客の意識も変わったように思う。
ガメラが福岡の港で初めてその姿を現すシーン。ヘリコプターでギャオスを追っていたその先に水しぶきが上がる。そして暗視カメラに浮かび上がる、ガメラの巨大な顔。僕が大好きなシーンの一つだ。初めて見たときには身の毛がよだったほど迫力あるシーンである。
久しぶりに’84年の『ゴジラ』を見ていたら、ひょっとして元ネタはこれか?というシーンがあった。ゴジラが東京湾に初登場するとき、ヘリコプターの前に突如、ゴジラがアップで海から顔を出すのだ。この『ガメラ大怪獣空中決戦』は過去の怪獣映画をイメージしたシーンがたくさん見受けられるから、うがちすぎではないかもしれない。
いや、元ネタかどうかは別にどうでもいい。問題は『ガメラ』の方がはるかにかっこいいということだ。
まず、水しぶきが違う。ガメラは爆発のように水しぶきが上がる。現実的に考えると、ガメラはただ体を起こしただけなんだから、あれほどの勢いで、しかもガメラよりも先に水しぶきが上がるはずがないのだが、そこをあえて無視するところが特撮のかっこよさなのだ。それから速度。ゴジラの方は、ハイスピード撮影という基本を忘れたのではないかと思うほど、動きが速くて重量感がない。暗視カメラ、というのも映像づくりに一役買っているだろう。また、ゴジラの登場は唐突すぎる。ガメラの登場も驚かされたが、海岸に”謎の物体”が迫っていることは説明されている。ギャオス捕獲作戦に夢中になるあまり、”謎の物体”のことなんて忘れかけていた。観客に忘れかけさせた上で(僕だけか?)、唐突にガメラを登場させる手腕は見事だと思う。
クライマックスの空中戦は、名場面の連続。思いつく限りの見せ場を集めた、という感じであり、スタッフが「こんな怪獣映画が見たかったんだ!」という不満を一気に放出したようにも思える。
最初、スチール写真を見たときの僕の感想は、ミニチュアが(当時の)ゴジラより偽物っぽいな、というものだった。しかし、映画を見てみると、ゴジラより遙かに迫力がある。
ちょっとこのレビューを通して言いたいことからはずれるけど、ミニチュアが偽物っぽく見えるのは、画面が明るいことや、ローアングルで撮ったためにカメラがミニチュアに近いためであり、ゴジラより劣っているわけではないだろう。また、偽物っぽいというのも、材質について、つまりコンクリートや木材に見えないという意味であり、形は細かい所まで作られている。
さて、結論。この映画は何故面白いのか?答えはずばり、演出がいいからである。今さら僕が言わなくても、すでに言い古された議論だとは思うが、何度でも言い続けたい。ミニチュアが偽物っぽくてもいいのだ。低予算でも、演出しだいで迫力は出せるのである。福岡でのガメラは初登場のシーンを見よ!あの水しぶきに膨大な予算が必要か?たぶんスタッフが左右からバケツの水をぶちまけただけだろう。たったそれだけであれだけ迫力が出るのだ。予算が足りないから、などという言い訳で簡単に逃げずに、邦画はこらからも頑張ってくれ!ハリウッドなんか目じゃないぞ!
2002.3.3
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