[コメント] レディ・ジョーカー(2004/日)
導入から事件発生までの簡潔でスピディーな展開は心地良く、高村薫のヒリヒリとした焦燥感を尊重し、登場人物を全員ストイックにまとめた平山秀幸の演出も方法論としては理解できるのだが、いかんせん時間が足りなかった。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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上下巻で800ページを越える社会派サスペンスの映画化にあたって、登場人物とエピソードは大胆に削りに削り、原作が持つテイストのみに徹底的にこだわるという方法論は、ひとまず成功している。
しかし残念ながら、エンターテイメントとしての決着のつけ方にもの足りなさが残る。少なくとも物井清三(渡哲也)、半田(吉川晃司)、高(吹越満)、陽吉(加藤晴彦)、布川(大杉連)のレディジョーカーたちには、それぞれ何らかの映画的結末を準備すべきだった。
そのためには、一人3分で合計あと15分の時間があれば充分だったはずだ。おそらく興行側への配慮として、2時間以内で作品をまとめなければならないという実利的な壁があったのだろう。もし製作管理サイドに、この15分という時間を脚本家と監督に与える勇気があったとしたら、本作の完成度はヘビー級の娯楽作品として飛躍的に高まっていことただろう。
最後に、豪雨の中の張り込みシーンの圧倒的な迫力と緊張感、そして半田役の吉川晃司が醸し出す堕ちた男の哀しいヤサグレ感は、近年の邦画をの中では特筆に価することを付け加えておく。
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