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[コメント] 戦国自衛隊1549(2005/日)

単純に見せ場が無く不完全燃焼。肝心の男のロマンも感じさせない。 無理やり自衛隊のあり方を入れてませんかね? レビューは1979年版のネタバレあります。
スパルタのキツネ

**ネタバレ注意**
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1979年版の『戦国自衛隊』のほうは、生きるためにあっさりと自衛隊が専守防衛、日本人守護の2大鉄則を破って戦国武将を殺しまくるところが痛快で、なかなか皮肉が利いていたんだと思うのだけれど、本作は合戦を描きたかったのか、自衛隊論を交わしたかったのか、極めて中途半端。これがかなり致命的でこじんまりとしてしまった。 おそらく自衛隊の協力を得るために中途半端ながらも「自衛隊のあり方」を盛り込んでしまったんでしょう。

と言うのも、当時の防衛庁長官は、「亡国のイージス」で自衛隊のあり方を真摯に問うた原作に満足して、その鶴の一声で防衛庁担当者を変心させ、邦画ではじめて自衛隊全面協力を許可した(軍事オタクで有名な)石破さんだったんですからね。 陸自の協力を得るための苦渋の策(打算?)だったのかもしれません。

福井晴敏さんの「亡国のイージス」は骨太で面白かったのでこれから劇場公開が待ち遠しい作品なんだけれど、本作はしょぼ過ぎた。 福井さんは単純な娯楽大作は苦手なのかもしれませんね。 あと、どうしていつもいつも関東一円を全滅危機に陥れたいわけ? 「ローレライ」「亡国のイージス」そして「本作」。本作の決め球(あの乾電池の大きい奴)が一番胡散臭い。 福井さん!もしかして早くもアイデア枯渇ですか? 

さてと、話を本題に戻して・・・、

戦国時代で自衛隊同士が闘う作品ではないだろうよ、「戦国自衛隊」は・・・。戦車やヘリをバズーカでやっつけて何が楽しいのですか? それでは現代版の戦争映画と変わらないじゃん。 やっぱり江口洋介と鈴木京香が捉まったあの縄梯子に真田広之のような身軽な武者が飛び乗って、ヘリの操縦士を殺ったり、戦車を木の杭でがちんこ勝負で止めたりするのが「戦国自衛隊」の良さではないですか? (行くまでより行ってからの方が重要だと思ってるので、タイムトラベルの理屈はどうでもいいっす。鈴木京香のいかにも嘘っぽい説明台詞に『サトラレ』を思いだした。)

鹿賀丈史が「信長になってしまった」って言うのも、??? 信長になれるんならラッキーじゃん、って言うぐらいの割りきりがほしかった。 どうせなら江口が武田信玄になってしまって(ちょっと年齢関係が合わないか・・・)対決ってのでも良かったな。

こうなってくると登場人物の誰が本物かも怪しいものだ。信長はコロコロ変わるし、秀吉も偽物かよ! 何年も前、仲間との飲み会の席で「戦国武将で誰が好き?」と言う話題になって「歴史上の人物なんて、みんなでっちあげの人物かもしれないので好きな人はいない」なんて言うロマンのカケラも無い奴がいたけれど、本作はその乗りだな。ロマンを全く感じさせない。これを観て子供に憧れられる武将はいないでしょう。

騎馬武者も見せ場が無い。攻城戦ばかりで合戦が皆無。小学生の頃に観た初作は、騎馬武者がとにかくかっこよかったので、いつかあれと同じエキストラをやりたいな〜 なんて思って、社会人になってから乗馬をちょこっとかじった私としては、この作品にそう思わせるものは無かった。

信長の重臣、柴田勝家と佐久間信盛の一隊が「平成の民」の為に燃料を汗を流しながら運んでたけれど、お前らは合戦しろよ! ほんとに見せ場が無い。あるとすれば、綾瀬はるかの濃姫ぐらいか。演技はまだまだこれからだと思うけどいい表情をしていた。今後の彼女に注目してみよう。

(評価:★2)

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