[コメント] わが青春に悔なし(1946/日)
これはとても幼い映画。ドアを背にした原節子の短いオーヴァー・ラップを繋げたシーンには笑ってしまった。黒澤もこんなことをやっていたのだ!
これは原節子の演技のアンサンブルを引き出すための映画だ。怒ったと思うと泣き、泣いたかと思うと笑っているこの人物は一体なんだ。のっけから、まるでサイレント映画のような原節子のアップ挿入のアンバランスさはどうした事だ。はっきり云って「D・W・グリフィスのリリアン・ギッシュ」だ。
しかししかし、私は原節子にメチャクチャ感動したのである。それは、黒澤の原節子に対する感情がフィルムに定着している部分に感動したのでは断じて無い。純粋に原節子の演技の素晴らしさに感動したのだ。少なくもこゝでは、黒澤より原節子の方がずっと才能があると思うし、黒澤より原節子の方が、ずっと映画を知っているのではないか、とさえ思う。
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