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[コメント] 博士の愛した数式(2005/日)

風景を美しく撮ることに執心するのも結構だが、登場人物なりストーリーに起伏をつけることをもう少し考えていただきたい。おいしいネタがたくさん転がっているのに料理しないで放置しすぎです。
ゆーこ and One thing

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







 一言で表現すると無味無臭。日本映画のよくない部分が思いっきり前に出ている作品です。

 一番気に障るのは、博士(寺尾聰)に出会ったことが、家政婦(深津絵里)とルート(齋藤隆成)に影響を与えているようには全然見えないことです。

 家政婦には夫が存在せず、ルートには父親がいない。そんな2人が博士に出会ったことで何かが大きく変わるのかと思っていたら、2人とも最初から最後までテンション一緒じゃん! 家政婦は不倫の痛手を背負っているようには見えなかったし、ルートも最初からとっても素直でいい子。

 家政婦は力説します。「私とルートにとって、博士と過ごすひと時は、本当に大切な時間でした」と。

 そう力説するからには、博士に出会う前は今と比べるとあんまり良くない時間が流れていたってことでしょ。それを描写してくれないと、上記のセリフに説得力が感じられません。

 80分しか記憶が持たない博士。80分だったら1日のうちで何回も記憶が途切れているはずなのに、一度たりともそういう描写がなし。「80分」ならではのうまみがあるはずなのに、それをみすみす放棄しています。

 未亡人(浅丘ルリ子)と家政婦は「不倫して、相手と結ばれることはなかった」という糸でつながっています。この2人の関係性ももうちょっと掘り下げられる可能性があったのに、またほったらかしです。

 料理の仕方ですごくおいしい作品になったはずなのに。返す返すも残念です。

(評価:★2)

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このコメントを気に入った人達 (6 人)るぱぱ Santa Monica テトラ[*] sawa:38[*] 水那岐[*] ぽんしゅう[*]

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