[コメント] ポセイドン(2006/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
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比較するなって言ったって、そりゃ無理な話だ。
アノ作品以降、初めてのビルなんかに行くと、「あっ、この天井は歩き易そうだ」なんてことをいつも思うようになったものだ。ビルがひっくり返ることなんてある訳ないけどね。
オリジナルはパニック物という1ジャンルを確立した作品だった。アイデアに驚き、興奮し、そしてドラマに涙した。
『飛べ!フェニックス』や『猿の惑星』『日本沈没』といった秀逸なアイデアに基づいた作品が近年リメイクされているが、映画人としてこれらの名作をリメイクしたくなる気持ちは痛い程よく分かる。分かるけど、それらが初登場した時はどれもそのアイデアに対する「とんでもない衝撃」があったのだ。それをリメイク作品に求めるのは無理な事は分かりきっている。
ならば、やはりそこは最新の映像技術と充実した人間ドラマで補うしかないのも当然の帰結であろう。では何故ここまでドラマを省略した半端な作品を作ってしまったのか?
オリジナル作品の登場人物たちの事が想い浮かぶ。彼等は皆、映画史に残るような個性的で魅力あるキャラ設定だった。特に主役が牧師でありながら、最後に叫ぶ「神はいったい何人殺せば気が済むんだ!」という言葉の重大さは単にパニック映画の範疇を越えたモノだった。今回だってリチャード・ドレイファスが青年を振り払った贖罪については、ドラマの核となり大いに膨らみ得るエピソードだったはずじゃないのか?「無賃女」は「地図」と呼ばれた青年が「誰」に殺されたのか知るべきじゃなかったのか?
あと15分フィルムを長くしても良かったと思う。『タイタニック』のようにクライマックスまでに冗長なドラマを持ってくるのではなく、脱出行の中であと15分だけでよいから彼等の間の葛藤やら確執、そして絶望を描いてよかった。
追伸、次のリメイクは『エアポート'75』あたりになるのだろうか?
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