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[コメント] トゥルー・ロマンス(1993/米)

監督によって誤魔化された限定約1名にとっての「これぞロマンス」。原作視点で共感できる男は、かなりの自信家・あるいは勘違いでないと無理。<オレか?ちょっと違う
ピロちゃんきゅ~

まあ、あり得ないとは思うが、この脚本の真の姿を監督は理解してないのか?さすがに勘違いでここまで作れるとは思えないんで、真の姿を出しちゃ売れるモンも売れないからって意味で判ってて変えてるのだと信じよう。

この物語は本来、「オレ様ってば、こんなにスゴイ男なのに、なぜ世間では認められないのか?」と自問自答していたであろう脚本家の卵が、まさに夢に見た、つまり「あなたって本当に凄いわ。クールだわ。話も最高だし、もうたまんない。もう濡れちゃった。あーん」って俺様を理解する女が今目の前にパッと現われたらなーっていう妄想をビデオ屋でバイトしながらシコシコ書いた話だ。まさにタランティーノそのもの。自分の事を独白し、自分の夢を妄想している。

そんな「現時点でしょーもない男の妄想夢物語」が監督によって「一途な男と女の物語」に作りかえられた映画だ。ここまで監督が「当たる映画」に作り変えたんだったら、タイトルだって別のモノが良かったのではないか?これじゃ、ロマンスとは言い難いよね。そんな意味では、確かに脚本家の映画とは言えない。まさにトニー・スコットの映画だ。でも、他のQT自身が監督した映画達は全部「脚本家が映画を演出した映画」だ。映像作家には作れない映画達だと思う。

なこと言いながら実際、これはこれで楽しかったんで、ベツにオレはどっちでもいいんだが、QTオリジナル脚本&監督でも見てみたい。もっとドロドロになって、ただのイカレあんちゃんで終わっちゃうんだろうが。それはそれでバカっぽくて楽しいかなーと。少なくとも主役のキャラ立てはもうちょっと面白い人間になりそうだ。そもそも、QT本人が監督してたら、スレーターなんていう中途半端な役者を使わないと思うんだけど。もっともっと見た目も普通な映画オタ。例えば、あの俳優の卵くん。バカっぽい方。彼が主役とか(それじゃ売れないよなぁ)。つーか、QT本人がやればもっと納得するか。しかし、ブラピの役とか、冴えない助手の彼とか、バカな俳優の卵くんとか、みんな実際にモデルが居るんだろうな。で、本当は自分も彼らレベルなわけだよ。でも、本人だけは「オレ様は本当はスゲーヤツで本気を出せば美女だってついて来るんだぜ!」と信じてたんだろうな。ま、確かに認められたけど(今はどうだか知らない)。

しみじみ思い返すに、以前みた時(10年ぐらい前か?)は、「おお!ロマンス!」と共感もしたもんさ。だってアンタ、ワケも判らず「貴方って凄いわ」とオレの凄さを理解してくれて、しかも黙ってついて来てくれて、事あるごとに「You're so cool」きゅ~って言ってくれるんだぞ。これほどの妄想ロマンスはなかなか無いって。この現状の自分の目の前にピロ様が唐突に現れて、このオレに恋してくれるなんて、なんて、なんてあるのなら、オレは安岡力也が相手だって殺しに行くね。ピロ様の為なら。

と言いつつ実際は「それは妄想だし。人生妄想だけで成功したら楽だよなー」と思っちゃってるわけだよ。「オレ様ってそんな凄くない」って一瞬でも思っちゃったらもう凄くないのだ。「オレはすごい!」と本気で信じ続けるにも人間限界があらーね。そんなオレには彼女は現れてくれないな。そんな妄想はここ(シネスケ)だけにしときなって事だ。はー哀しい。

(評価:★4)

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