[コメント] ミスト(2007/米)
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(原作ネタばれあります)
わたしとしては、キャスティングもクリーチャーの造形も申し分なしのイメージドンぴしゃりで(虫クリーチャーをピンクの芋虫からサソリ風イナゴに変更したのは多分ダラボンの思いやりだろうな)、ストーリーも上手く原作を補足してくれているなあと感心した。
特に、原作の主人公とアマンダのHシーンを削った英断には感謝。気持ちが全くわからないというわけではないけど、やっぱりあの状況下で「ママは無事?」と不安がる息子をほかの人に預けてそういうことしちゃうってのに、ものすごく抵抗あったんだ。ありがとう。ありがとうダラボン。
しいて言えば、メイン州片田舎の排他的な雰囲気とか「地元民」と「別荘組」の確執とかの描写がもう少しあったほうが親切かな、とは思ったけど。
しかし、元はといえば若かりし日のスティーブン・キングが、地元を襲ったでっかい嵐のあと、女房に頼まれて子どもと混雑するスーパーで買出ししてた最中に(ここまでは実話)、「今ここに原始時代の翼竜みたいなバケモノが飛び込んできたらおもしれーだろーなー」と小学生みたいな想像をしたのがキッカケというどっから見ても筋金入りのB級作品を、よくぞここまで変に引き上げも引き下げもせず忠実に映画化してくれたものよと。それこそ、いわゆる「衝撃のラスト」までは5点満点の10点だったのよ、ホントに。
そこまで(6本足の巨大クリーチャー出現まで)あまりにも原作に忠実だった故に、どうしてもあのラストに「無理矢理持ってきました感」がふつふつと…
クリーチャーに襲われる危険を冒して決死のスーパー脱出を図り、あの極限状態でフロントグリルに落ちた拳銃すらあきらめなかった主人公らが、なぜみすみす命綱たる車のガス欠を考慮しなかったのか。ガソリンがメーター振り切って初めて気がつきました、みたいな顔をして「やれるだけのことはやった」って…
それに、あの軍の事態収拾。クリーチャーやっつけると、ついでに霧まで晴れてしまうのがどうにもいただけない。雑魚クリーチャーならいざ知らず、あの霧の存在感と深遠さを、歩兵の火炎放射器ごときで撃退されては、なんか別の意味で衝撃。
…などと言いつつ、パンチが(風刺も)効いたラストであることは確かだし、これまでの流れと全くつながらない唐突なラストというわけでもないので、結局「どっちかっていうと高評価」という玉虫色(霧の中?)な点数になってしまった。
ま、ここは素直に、原作未読の人は運命の皮肉と人間の哀しさ恐ろしさに戦慄し、原作読んだ人は「ダラボン、ひでえや〜(笑)」とのけぞっておこうではありませんか。
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