[コメント] ランボー 最後の戦場(2008/米=独)
とんでもない映画だ。スタローンはここで暴力の極北に到達した。それが「よい」ことかどうかは分からない。しかし弾薬の物量だけでは決して成しえないことであるのは確かだ。私にはこの映画を冷静に受け止めることはちょっとできない。過剰な「雨」と「泥」の不快感。発煙筒が吹く赤紫の「煙」の禍々しさ。
**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。
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この映画が九〇分(!)に収まるのは、プロットの点から云えば「『仲間』とともに『姫』を助け『悪者』をやっつける」という単純きわまりない、あるいは神話的なそれに付け加えられているものが何もないからで、たとえば現代の多くの映画であれば、「本番」の救出作戦の前に「仲間」たる傭兵たちのキャラクタを描き分け、彼らの有能さを印象づけるためのミッションを用意するだろう。もちろんそれだけで上映時間は少なくとも一〇分は長くなってしまうのだが、「本番」において彼らが活躍するにしろあるいは死ぬにしろ、それが観客のキャラクタへの感情移入を促して「本番」を盛り上げるためのドラマツルギーなのだと、ある時代以降の映画ではそう決まっているのだ。しかしスタローンはそんなことに興味を示さない。とにかく残虐ファイトの一点勝負。まあそれはそれでよいだろう。しかし私たち観客には、それにしてもどうしてここまでの残虐性が必要とされるのかまったく理解できないのだ。スタローンはどうかしている。唐突なラストの「帰郷」に、その直前のスタローンとジュリー・ベンズの切り返しに、私たちはいったい何を思うことができるというのか!
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