[コメント] アフタースクール(2008/日)
映画を見終った人むけのレビューです。
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だまされるのは嫌いじゃないが、なんだかすっきりしない。
冒頭中学時代の下駄箱前のラブレター渡し。このシーンは良く出来ている。 次に妊婦、その父(実は刑事)、その夫の友人(実は本命)、のシーンが少しアヤシい。 セリフや立ち位置が微妙にヘン。この映画はそういうヘンな(それでリアルな)人々を描く映画なのか? と思って見ていると、大泉洋の中学教員がやばいチンピラの仕事にどんどん加担していく。この設定がいかにも不自然で、これはリアルな映画じゃない、と思う。それに反して、役者の演技や画面の質は細部にまで神経がいきとどいていて、その不整合が居心地悪い。この映画をどう受け取っていいかわからない。
そのもやもやした感じでずっと見て行くと、それぞれのシーンの種明かしが後半にでてくる。巧みにたくらんであるな、と思うが結局そんなことは私にとってはどうでも良くて、始めから感じているもやもやをどうにかしてほしい。いくつかセットっぽい画面も気にかかる。例えば、中学の職員室。机の上が妙に片付いている。私が教員だからそう思うのかもしれないが、あんな職員室はないだろう。ワザとその効果をねらったとは思えない。このシーンはfakeに関係ないから。歌舞伎町の大人のおもちゃ屋もそれらしくつくったセットの匂いがする。だましを成立させるには、その材料には本物が必要で、役者の演技はそれを満たしているがいくつかのシーンがニセっぽい。きっと私がこの映画に要求しているものと映画が進んでいる方向がちがうのだ。でも私の要求はこの映画から刺激されてでてきたはずなんだが。
結局自分はミステリーのはめ絵細工より思春期の結末を中年でつける人間のドラマにより関心がある、ということなんだと思う。ラストで下駄箱ラブレターの真相があかされる。ここは腑に落ちた。だがそのあとで、一緒に帰ろう、と言われても、誰の子どもかわからない赤ん坊を抱えている女と暮らして行くのはどうなんだ。カッコいいけどその背景をもう少し描き込んでほしい。そういう映画じゃない、と言われると、はあすみません、と引き下がるけど。
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