[コメント] インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国(2008/米)
映画を見終った人むけのレビューです。
これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。
『ジョーズ』がホオジロザメというモンスターとそれと戦う人間たちを描くという輪郭を崩さずスリルを捻出した、その優先順位と仁義を貫徹した娯楽映画だったとすれば、インディ・シリーズはいかに観客にスリルを感じさせるかから逆算して構築した、いわばテーマパーク映画であり、アトラクション・アクションだった。
また、それ故に、キャラクターはコミック調に振り切ることが出来たし、呵責なくギャグをかますことができた。銃殺さえギャグにしてきた。それ故に楽しいと言えば楽しい、ぬるいと言えばヌルヌルなシリーズだったのである。
そして、今回、プレリー・ドッグが顔を出した時点で、今回もそうですよ〜と断られたも同然だったので、俺は、ウヒヒ鑑賞に徹することが出来た。当のスピルバーグ先生も二十年前以上に割り切っていたようである。銃殺ギャグが核爆発ギャグにまで昇華されてたよ。
という訳で中盤までは、小ネタとセルフパロだけで十分楽しめた。ジャングル・チェイスからターザン・ゴッゴから黒い絨毯パロから『魔宮の伝説』のセルフ・パロたる三段滝落ちまでは本当にゴキゲンだった。アトラクション作りの才能はやっぱり世界最強だろう。それにコミック調のキャラ描写も手馴れたもんで、アクションへの折り込みも卒が無い。
ただ、残念なことに、遺跡到着後は、それら小ネタとキャラ描写が疎かになってしまい、『ハムナプトラ』と変わらぬ大味なCG博覧会になってしまった。こんな凡庸な醜態を晒すのも久々ではなかろうか。いや、そうでもないか。
しかし、いくらゆるいシリーズだからって、いまさらロズウェル・ネタはどうなのよ。いくらなんちゃってアドベンチャーだからって美意識ないにもほどがある。その上、我慢して見てれば、目新しさのかけらもねえじゃねえか。かの『X−ファイル』が終わったのが何年前だっちゅう話である。前世紀ですよ、前世紀!ネタバレもくそもロズウェル言われた時点で誰もが落ちを想起するはずで、まさかそのまま行くめえと深読みした客の裏を、ある意味見事にかいちゃったよ。
ただ、スピルバーグが『未知との遭遇』みたいなSFまがいのファンタジーか、『宇宙戦争』みたいな投げ捨てしかやって来なかったことを考えれば、そもそもスピルバーグにSFチックなネタとオチを強要した人間の功罪が問われるべきで、じゃあ、そいつは誰なんだって事なんだけど、ルーカス! ――あの宇宙人に英語喋らすしか知らないお人だ! 聞くところによればスピルバーグが気に入るところまで行ったダラボンの脚本を鶴の一声で却下したそうだなあ。それで連れて来たのは『ザスーラ』の脚本家かい!ハリソン・フォードも苦笑かヤケかやたらニタニタしていたよ!
しかし、クール・ビューティというか、サディスティック・ビューティなケイト・ブランシェットがすんごい可愛かったので俺は満足です。
(評価:
)投票
このコメントを気に入った人達 (7 人) | [*] [*] [*] [*] [*] [*] |
コメンテータ(コメントを公開している登録ユーザ)は他の人のコメントに投票ができます。なお、自分のものには投票できません。