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[コメント] その土曜日、7時58分(2007/米=英)

同時進行ドラマを想起させる邦題にしちゃってるけどそれは作品の本質ではない。集客ポイントが落ちるのかも知れないけど「悪魔に知られるより前に逝って」という原題のほうがピッタリ。
おーい粗茶

**ネタバレ注意**
映画を見終った人むけのレビューです。

これ以降の文章には映画の内容に関する重要な情報が書かれています。
まだ映画を見ていない人がみると映画の面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。







タランティーノがブームの先駆けだとしたら、もうかれこれ20年? 「同時進行ドラマおもしろ保証説(=同時進行ドラマはそこそこ面白い=つまらない話でも時間軸をいじくると面白く感じる)」は根強いんだなあ。それをやっておけば「保険」という考えがしみついていないだろうか。

本作の物語のキモは、強盗事件の場で交錯する複数のドラマの衝突ではなく、事件以降わずかなほころびがほつれて広がっていく連鎖の様子と、並行して次第に明らかにされる家族の秘めたる心情のもつれ、そして、今この家族間の中で絶対に暴かれてはならない事件の真犯人という「最大の秘密」が、いつどういうきっかけで露呈してしまうのか、怒涛の先にいつ滝が現れるかわからないそのスリルである。

「連鎖」にしても「次第に明らかにされる」にしても、「いつ滝が現れるか」にしても、時間通りに運動を追っていくから面白いのであって、時間軸が何度もリワインドしていく描き方は逆効果と思う。現に後半の同時進行描写は、前半のスタイルに無理に揃えているだけのようなところが多いように感じるし、事件の現場での交錯にしたって今更凄いとは思えないし。本作の場合、兄弟が、それぞれ同時間に切羽詰まった状態のピークを迎え、お互いに助けを求める、というところ以外でこの手法が効を奏しているところがあまりない。ふつうにエピソードを交互に語れば済んだのではないだろうか? なんて文句を言いながらも面白い話だったし、俳優もさすがの好演で満足感はあった。 

(評価:★4)

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