時制ずらしの国連パートの有無は別として、ゲリラ部隊の立ち上げ⇒新兵のスカウトと教育⇒支援者への協力要請⇒正規軍との戦闘、という展開は完全にシンクロしている。その一方で、同じことをしてキューバではうまくいったものが、ボリビアでは悉く裏目に出て次第に窮地に陥っていくという対照性。それが志向されたものかどうかは寡聞にして知らないが、構造的な対称性（シンメトリー）と物語としての対照性（コントラスト）。そのことを否応なく意識させられる。

とはいっても勿論、それだけだったら間抜けな二部作に過ぎなくなってしまうところ、それで終わらないのは矢張りソダーバーグの確かな手腕であろう。相変わらずぶつ切りのエピソードの羅列であり、取り立てて大きな転換点がある訳でもないにも関わらず、事態が少しずつ暗転していく様が極めて適切に滲み出される。シーンの取捨選択、間の取り方が絶妙なのだろう。第一部の序盤で示された後、まったくと言っていいほど言及されなかったゲバラの喘息というアイテムが、戦況の悪化とともにシンボリックに再登場するあたりの巧みさなども。

…と、突き放し気味のレビューになってしまったけど、この二部作を通して表現されたチェ・ゲバラという人物の半生には少なからず感動を憶えたことを最後に付け加えておきます。